奈良時代、聖武天皇の勅願により、行基菩薩が密教の寺院「天野山金剛寺」を創建。
平安時代末期に阿観上人が復興することで、中世に巨大な境内都市として発展してきました。
時を刻み続けた寺院史は濃くふかく、類稀なる文化財を現世へと残しています。
国宝
三尊像
三尊像「木造降三世明王坐像(左)・木造大日如来坐像(中)・木造不動明王坐像(右)」は、特殊な図像形式で尊勝曼荼羅をあらわす御仏です。
今回の平成大修理時では、大日如来・不動明王坐像は京都国立博物館で、降三世明王坐像は奈良国立博物館で保存され、修復が行われました。
それぞれ重要文化財であった坐像が、この度3軀で1件の国宝となって新しい金堂へお帰りになられます。
延喜式巻十四(部分)・神名帳
当時の金剛寺は今でいう大学としての側面もあり、様々な学問分野の専門書が集められていました。
剣 附黒漆宝剣拵
両鎬造りで無反り、目釘孔は一個、無銘。
拵は鍍金の三鈷柄で製作がよく、平安時代のものです。
現在は京都国立博物館に保存。
重要文化財
金堂
多宝塔
楼門(ろうもん)
食堂(じきどう)
伽藍の中には、中世(平安時代末期から戦国時代まで)に立てられた建物が、今に姿を残しています。
平安時代に建てられた多宝塔は日本最古級といわれ、鎌倉時代に建立されたのが楼門と金堂です。
室町時代に建てられた食堂は、寺僧が集まり、重要事項を話し合ったいわば議事堂であり、後村上天皇の政庁ともなりました。
金堂は今回3度目の大修理を行い、美しい姿へとよみがえりました。
日月山水図
室町時代の作。大和絵特有の伝統的な画法を用いつつも、自然をダイナミックに鮮やかに描いています。
海波と大山が重なりあう図案に、四季の景物(桜花・紅葉・白雪)に日輪と月が混在する装飾的な画趣が独創的であることから、近年は海外でも人気を博しています。
特別展示は春と秋の年2回、奥殿(観蔵院)にて。
腹巻と鎧
(1)黒韋威肩白腹巻 (2)黒韋裹肩紅白威腹巻 (3)藍韋威肩紫紅白腹巻 (4)黄熏韋威膝鎧。
南朝を援護し、河内を守護した楠木正成一族が身に纏った鎧。
このほかにも金剛寺には20数領の腹巻があり、中世に金剛寺が武士と大きくかかわっていたことがわかります。現在は宝物殿にて保存。
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