落慶法要について
法要を行います。
2018年3月27日(火)12:00-14:00
一般の方の駐車場はありません。
公共交通機関をご利用ください。

平成の大修理
鎌倉時代に建立された金堂の大規模な修理は、1度目は1605年に豊臣秀頼が、2度目は1700年に岸和田藩主・岡部美濃守長泰がそれぞれ徳川幕府の命を受けて行いました。そして史上3度目となるのが、今回の「平成大修理」です。平安末期~南北朝・室町時代をへて戦国時代に入るまで、寺院として栄華を極めた「中世」の姿に戻せるのか!? 一番近い江戸時代「元禄」に戻すのか!? 解体したからこそわかる事実の検討を繰り返した約9年間(平成21年~平成29年)を振り返ります。
調査〜基本設計
建造物ごとに各部調査を行い、基本設計書を作成。仮設の覆い屋を建築し、解体準備を行いました。



修復前の様子。 金堂(左)・多宝塔(中)・鐘楼(右)
修理前の状況
【金堂】屋根:正面側に古い瓦を使用。凍結による破損がみられる
【金堂】軸部:組物の傾斜がみられる
【多宝塔】内部:彩色がめくりあがり、剥離落下して木地があらわれている
【鐘楼】壁:漆喰が剥がれ膨らんでいる様子
修理方針概要
解体〜計画
建物の解体調査、構造診断、歴史記録の調査を行いながら、 基本設計書に変更を加え、実施設計を進めました。(鎌倉時代から江戸時代までが 混在した姿とする実施設計に決定)
【金堂】 瓦葺解体中の様子。葺土があらわれ、かなりの重量であることがうかがえる。 現状瓦葺工程①野地板②杉皮葺(一部こけら土居葺き残)③葺土④平瓦葺き ⑤丸瓦葺き
【金堂】平成23年3月、仮設工事完了
【金堂】 野地板解体後、垂木があらわ れた状況
【金堂】 曼荼羅全面剥ぎ取り。現状の 下張り以外にも最低2回分の跡を確認
【金堂】 痕跡・時代別等調査中。幣軸部材 などは慶長期の改修前の部材を再利用
【多宝塔】 彩色の破損状況。木地の板境 で破損の度合いが異なっている
地震動予測地図を元に敷地周辺への 被害を想定して耐震設計を行う
調査~基本設計から、解体~調査・検討を繰り返し、保存修理を実施しました。
実際に行った修復の様子をご紹介いたします。
古い素材を大切に残しながら、9年の長い歳月を経て、大修理が完了いたしました。
絵画
劣化処理、単色塗替、復原(修復)、それぞれに合わせた絵画修理を行いました。
劣化処理
多宝塔内部柱に描かれた仏画詳細。処理前(左)・処理後(右)
塗装・彩色
鐘楼(左)・金堂内部塗装[丹土 / 緑青塗 / 漆塗など](右)
復原(修復)
これ以上経年してしまうと復原不可に。痕跡等を参考にして行う
復原(修復)
金堂向拝虹梁彩色。復原前(左)・復原後(右)
屋根
修理技術や古材を大事にしながら 絵画 構造強化、軽量化をはかりました。
金堂
今回の修理で構造補強対策を導入

【金堂】野垂木取付け完了

【金堂】 飛棟取付け、土居葺完了

【金堂】瓦下、土をやめて軽量化。瓦桟取付け、瓦仮置き。南面には古瓦を多く配置

【金堂】 小屋裏、古材保管の様子
土壁
【金堂】内法上小壁木舞掻き。古い土を入れて練り直し、塗っていく
軸部
【金堂】 柱根継状況。素材が良好だった
ためか比較的状態がよかった